インフラセキュリティ
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QNAPとONVIFカメラで作る「安価な監視録画システム」構築

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Definition

ONVIF(オンビフ)とは、ネットワークカメラ製品のインターフェースを標準化した国際規格です。QNAP等の汎用NASとONVIF対応カメラを組み合わせることで、ベンダーロックインを回避し、専用NVRの半額以下で本格的な監視システムを構築できます。

TL;DR (要約)

監視カメラシステムのコスト削減には、カメラと録画機(NVR)の「分離調達」が効果的です。汎用的なQNAP NASに「QVR Pro/Elite」アプリを入れ、Amazon等で買える安価なONVIFカメラを接続すれば、プロ仕様の検知・録画機能が手に入ります。成功の鍵は、新しい規格「Profile T」への対応と、余裕を持ったディスク容量設計にあります。

この記事でわかること

  • なぜ「QNAP + ONVIF」構成が最強のコスパなのかについて学べます
  • ONVIF規格の重要性:Profile S vs Profile Tについて学べます
  • 推奨システム構成図について学べます
  • 失敗しない容量設計と計算式について学べます
  • 導入チェックリスト&FAQについて学べます

なぜ「QNAP + ONVIF」構成が最強のコスパなのか

従来の監視カメラ導入は、カメラメーカー純正の専用レコーダー(NVR)とセットで購入するのが常識でした。しかし、これではカメラ1台追加するだけで高額なライセンス料が発生したり、他社製カメラが使えない(ベンダーロックイン)という問題がありました。

QNAP NASを活用した構成なら、以下のメリットがあります。

1. 圧倒的なコストパフォーマンス

専用NVRに比べ、ハードウェアコストを大幅に削減できます。既存のファイルサーバー用NASに機能追加する形なら、初期投資はほぼカメラ代のみです。

2. 自由なカメラ選定 (ONVIF)

ONVIF規格に対応していれば、1台3,000円の激安カメラから、高機能なPTZカメラまで自由に組み合わせ可能です。

特に、社内のITインフラコスト削減を考える情シスにとって、汎用サーバーで監視システムを内製化できる点は大きな魅力です。

ONVIF規格の重要性:Profile S vs Profile T

ONVIFにはいくつかの「プロファイル」があり、対応している機能が異なります。古いカメラや格安カメラは「Profile S」のみ対応の場合が多いですが、これからは「Profile T」対応が必須です。

▼ ONVIF プロファイル比較表

規格名 Profile S (従来) Profile T (推奨)
制定年 2011年 2018年
画像圧縮 MJPEG, MPEG-4, H.264 H.264, H.265 (HEVC)
モーション検知 限定的 高度なイベント検知対応
双方向音声 非対応(または独自拡張) 標準サポート
推奨用途 レガシー環境の維持 新規導入、高画質録画

特にH.265 (HEVC) 対応は決定的な差です。同じ画質でもH.264に比べてデータ容量を約50%削減できるため、ストレージコストに直結します。

推奨システム構成図

シンプルかつ拡張性の高い、PoE(Power over Ethernet)を中心とした構成例です。

📷 ONVIFカメラ x N PoE受電 / Profile T
🔌 PoEスイッチ 電源供給 & データ通信
💾 QNAP NAS App: QVR Pro / Elite
📱 Monitor PC / スマホ / HDMI

LANケーブル1本で電源と通信をまかなえるPoE構成にすることで、カメラ近くの電源工事が不要になり、設置自由度が飛躍的に上がります。

失敗しない容量設計と計算式

監視カメラシステムで最も失敗しやすいのが「録画容量の見積もり」です。以下の計算式で、必要なHDD容量を算出してください。

容量(GB) = ビットレート(Mbps) ÷ 8 × 3,600(秒) × 24(時間) × 保存日数 × カメラ台数 × 予備(1.2) ÷ 1,024

▼ 設定別 容量試算 (カメラ1台あたり)

画質設定 コーデック ビットレート 14日間保存 30日間保存
Full HD (高) H.264 4 Mbps 約 605 GB 約 1.3 TB
Full HD (中) H.265 2 Mbps 約 302 GB 約 648 GB
HD (低) H.265 1 Mbps 約 151 GB 約 324 GB

このように、H.265を採用してビットレートを抑えることで、容量消費は半分になります。Web画像の最適化と同様、動画データの圧縮技術選びはシステムの寿命とコストを左右します。

導入チェックリスト&FAQ

導入前に確認すべき項目と、よくある質問をまとめました。

重要ポイント

DIY監視システムの最大のメリットは「小さく始めて大きく育てられる」ことです。まずは重要なエリアに1台だけ設置し、運用しながら台数や保存期間を調整していくアジャイルな導入をお勧めします。

チェックリスト

  • □ カメラが「ONVIF Profile S」または「Profile T」に対応しているか
  • □ QNAP NASのモデルが「QVR Pro」または「QVR Elite」に対応しているか
  • □ QNAPのライセンス(標準で数台分無料、追加は有料)を確認したか
  • カメラのデフォルトパスワードを変更したか(セキュリティ必須)
  • □ スイッチングハブのPoE給電能力(W数)は、カメラ全台分足りているか
  • □ 録画データ保存用のHDD容量は、RAID構成を含めて十分か
  • □ 停電対策(UPS)は検討したか

よくある質問

Q. QVR ProとQVR Eliteの違いは何ですか?

QVR Proは従来のNAS向けアプリで、機能が豊富ですがリソース消費も大きめです。QVR Eliteは新しいサブスクリプション型の軽量アプリで、必要なチャンネル数だけ柔軟に追加契約できます。小規模スタートならQVR Eliteがおすすめです。

Q. カメラの動体検知は使えますか?

はい、ONVIF Profile S/T対応カメラであれば、カメラ側で検知したモーションイベントをQNAP側で受け取り、録画トリガーにすることができます。これにより、「動きがあった時だけ高画質録画」といった設定が可能になり、容量を節約できます。

Q. 外出先からスマホで見れますか?

可能です。QNAPが提供するモバイルアプリ(QVR Pro Client等)を使用すれば、VPN設定なしでも安全に外部からライブ映像や録画データを確認できます。

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